Interview for katsuhide_morimoto

11.Katsuhide Morimoto(Photographer) / 守本勝英(フォトグラファー)

PROFILE

1974 年生まれ。日本大学経済学部卒業後、1999 年独立。現在、ファッション雑誌、広告カタログ、CD ジャケット、MV(ミュージックビデオ)、アーティスト写真等を中心に活動中。little friends management 所属。http://littlefriends-management.com/

Question & Answer

ファッション誌や音楽誌、広告カタログ、CDジャケットなどクリエイティブ業界の最前線 で数多く見られる守本氏のファッションフォトは誰もが一度は目にしたことがあるだろう 。どういった道、どういった経緯を経て、フォトグラファーに成り得たか。写真を始めた きっかけから、ご自身が現在思うファッションフォトへの考え方を伺った。
  • Q1.写真を始めたきっかけを教えていただけますか?
  • Katsuhide Morimoto(以下KM): 学生の頃は周りで、映像や音楽等の創作活動を行う友人 が多くいました。その影響で漠然と始めたのが写真で、短期間ですが個人で経営されてい る小さな写真教室などにも通っていました。
  • Q2.学生時代はどんな感じだったのですか?
  • KM: 小学生、中学生の頃は、漫画や音楽など当時流行っていたものをよく見聞きしていま した。その中でも学生時代、特に印象的に残っていることは、テレビ神奈川(TVK)で放 送されていたある音楽番組で、日によって色々なジャンルの音楽やミュージックビデオを 多く流していたのですが、当時よく観ていたことを今でも覚えています。
  • Q3.写真教室はどういった雰囲気だったのですか?
  • KM: マンションの一室で行っているようなワークショップに近い雰囲気でした。僕も気軽 に通えるところで家から近い場所を選んでいたので、特に違和感はなかったですね。また 当時の先生が、まさにカメラマンという格好をしていたのをぼんやりと覚えています。カ メラ用ワークベストに袖をまくり、手はもちろんグローブをして、眼鏡をかけたような少 し変わった格好をしていましたね(笑)。 実際に教室では、生徒たちが自由に写真を撮ってきて、それを教室内のプロジェクター で発表し合うような感じでした。あまり覚えていないのですが、空き地に捨てられたパイ プや無機質なコンクリートの壁など、色々な風景写真を撮っていたと思います。
  • Q4.実際に仕事として写真に携わるようになったのはいつ頃ですか。
  • KM: 学生時代にビデオレンタル店でアルバイトをしていたのですが、その時のバイトの先 輩が知り合いのカメラマンでアシスタントを探しているからやってみないと誘ってくれて 、それで当時はバイト感覚で飄々と面接に行きました。最初にお会いしたのはクラブで、 当時忙しくそこしか場所がなかったみたいでたまたまクラブだったんですが、そこでお会 いして「お願いします」ということでアシスタントをすることになりました。それから一 週間ほど連絡はなかったのですが、後日、連絡をもらって「今度、撮影があるから来る ?」っていうことで、そこから富永さんのアシスタントとして仕事を始めました。
  • Q5.アシスタントを通じて印象的に残っていることはありますか?
  • KM: 当時は自分のキャパを遥かに超えるほど仕事が忙しく、冷静に目の前のことを見るこ とはあまりできていなかったと思います。でも、一つ、写真を撮る上で「自分が思ってい るよりも一歩踏み込まないと写真には映らない」と言っていただいたことがあって、それ は今でもずっと自分の頭の隅に残っている言葉です。 相手との距離感について各々の距離の取り方が違うと思うのですが、被写体を上手く撮る 際は、自分が思っている感覚よりも一歩前に入っていかないと写真にはきちんと映らない 。人物に限らず、風景や静止物などの全ての被写体にも同じく言えることだと思います。
  • Q6.アシスタントを辞められてからはカメラマンとしてどういったアプローチをされて いたのですか?
  • KM: 生活をするためにアルバイトを始め、その時は大型家電量販店で携帯電話を売ってい ました。時給が良かったので(笑)。 写真はスナップや音楽のライブ写真など、後はアシスタント時代に出会った同期のスタ イリストさんやヘアメイクさんに仕事や作品撮りで声をかけてもらっていました。ファッ ション雑誌のモデル募集ページや巻末の新人モデルページ、バーの取材やアクセサリーの 物撮りなどの仕事をしていて、今でいうファッションページなどは全然なかったと思います。
  • Q7.写真の仕事が回り始めたきっかけを教えていただけますか。
  • KM: 今でもお世話になっている大先輩のスタイリストさんがいらっしゃるんですが、その 方が当時手掛けていたメンズファッション誌で紹介する4ページのファッションストーリ ー企画を一緒にさせていただいたことがきっかけだったと思います。それは、過去に恩師 からの紹介で撮影していた見開きのミュージシャンのポートレイト写真にその方が注目し てくれたことがきっかけでした。
  • Q8.当時、ファッションページを撮り始めたことからファッションフォトについて得た ことを教えていただけますか?
  • KM: その方と作るファッションページは同期のスタイリストと作っていた作品撮りよりも 構成のアプローチがとてもコアで、ビジュアルを作る上での段階の踏み方やオリジナルテ ィの追及の仕方などを学びました。 ファッションフォトを作ることは、アートフォトグラフィーと違って、ゼロをイチにする ことではないと思っています。スタイリストがいて、洋服があって、そこから何を作って いくかのベース/入口がある。そこにアイデアやテーマがあってファッションページが成 り立っていく。僕の中ではいわゆるシステムというかそういったファッションページの構 成を学びました。昔は、単純に洋服とか無視して、ファッションではなく、この写真集が 面白いからこれに近いイメージをファッションとして昇華しようなど、イメージのみの軸 のない写真を考えていました。でもやはりイメージのみの軸で持っていくとファッション フォトは成り立たないことを学んで、改めて洋服の軸があって、そこをどう組み立てていく かでファッションフォトが成り立っていくことを感じました。
  • Q9.ファッションブランド「アンダーカバー」の写真集「Grace」では幻影的で陰のある 写真を撮られています。他のお仕事としても、陰と陽のコントラストが印象的なメンズの クールな写真を多く撮られていますが、ご自身の写真についての考え方を教えていただけ ますか。
  • KM: 自分の写真についての軸はずっと考えていて、逆に明確にしないことが自分の写真な のかなと思っています。結果、写真は影のあるグレートーンに近い陰の表現が多いですが 、もちろん、陰を強調するために陽を撮ってみたり、そういったことを行き来することは あります。スタイルの軸を明確に決めてモノを作るのではなく、色々な要素を取り入れた い自分のスタンスも受け入れながら、結果、改めて自分の写真も見返したらどこにも属さ ない自分だけのスタイル/写真になっていればいいと思います。
  • Q10.ユニクロやGAPなどファストファッションが参入してきた現代ですが、フォトグラ ファーの立場からファッションの移り変わりについてご自身の考えを伺えますか。
  • KM: ファストファッションは手頃な値段でかつスタイルやカラーのバリエーションも多く 、手に取りやすい洋服ではあるんですが、逆に着回しがきく代替品のような記号に成り得 る表面だけのファッションとして認識されやすいかなと少なからず感じる部分もあります 。その中で、僕も仕事をする上では洋服からみえる作り手の背景や想い、また綿密に作ら れたディテールの面白さ、構造などをファッションフォトでのクリエイションから掘り下 げて、そのファッションの内側に潜む熱や力、またオシャレを純粋に楽しむきっかけを表 現できればと思っています。
  • Q11.ご自身が感じられた最近の刺激または、考え方や価値観において、再発見したこと を教えていただけますか。
  • KM: 刺激がないことに対して焦りがすごくあって、それが逆に刺激になっているんですか ね(笑)。情報が周りに溢れていて、それを見過ぎているからかもしれません。